公益財団法人ユニオン造形文化財団
(令和3年度)第28回ユニオン造形デザイン賞公募
テーマ「ふるまいの共振」
「ふるまいの共振」をデザインして欲しい。
そもそも建築とは、ある特定のふるまいを集積させたものである。本を選び、読み、借りるふるまいを集積させれば図書館ができる。しかし、しばしば私たちの設計はふるまいを深く見つめることなく、部屋や家具のレイアウトに終始してしまう。この課題は、建築をふるまいとそこから立ち上がる感性の集積として再定義するものである。ふるまいは、行為の模倣を意味する「振り」と、反復を意味する「舞い」という文字からなる。赤ん坊が行為の模倣と反復を通じて共感を紡ぎ、共同体の一員となるように、ふるまいとは私たち集団の記憶と感情が折り畳まれた、言語化できない文化的体系である。そこには、個人と集団の心理に届く設計の可能性がある。今までの設計論では、人の心は主観的で定性化できないとして、積極的に言及されてこなかった。しかし、行動主義心理学や認知心理学が明らかにしたのは、人間は感情があって行動するという一般的な理解の他に、行動があることで感情や認知が生まれるという事実である。そこで皆さんには是非、建築的な視点から人間を見つめ、ふるまいの観察を通じて、人の感情を捉えてほしい。必要なのは、対象の動きを捉える微視や動体視力なのである。今回の課題で求めたいのは、ふるまいを「共振」させることだ。ある特定のふるまいが複数の身体に自然と起こるとき、共感が生まれる。宗教や祭礼の儀式、農村やギルドなどの共同体、芸道や武道といった道と呼ばれる日本の伝統もまた、ふるまいの型とその共振が核にある。日常的にも、私たちはおじぎや会釈、頷きなどのふるまいを共に重ね、「つぶやき」や「イイネ」といったふるまいをネットに重層させて、社会を紡いでいる。社会というものを、複数の身体の具体的な動きとして考えると、空間にできることは多い。それは、格差が広がり、共通の規範や絶対的価値が失われた現代において、建築が再び社会に資することのできる、大いなる可能性ではないか。提案は、都市や建築、家具やプロダクトなど、どんなスケールのものでも良い。ふるまいも、今まで誰も着目してこなかった些細なものや、コロナ時代の新しいふるまいでも良い。それをどのように複数の身体に共振させ、そこからどのような感情を立ち上げ、共同体を築くのか。身辺から立ち上がりながらも、大きく広がりのある提案を期待している。
審査員 中村 拓志
審査員
建築家 中村 拓志
ユニオン造形デザイン賞
大賞  1点 ……… 賞金 100万円
奨励賞 2点 …… 各賞金 50万円
佳作  数点
※但し、審査の結果、賞名・賞金・点数が変更される場合があります。
 前回は大賞(1等)〜5等、計15点が受賞となりました。
作品応募期間
受付開始 令和3年 10月 25日(月)
締  切 令和3年 12月 27日(月) ※当日消印有効
応募資格
学生(大学生、大学院生、専門学校生)及び実務経験10年以内の社会人。但
し、1992年1月1日以降生まれの方とします。共同制作の場合、代表者を決め共
同制作者全員を連名してください。
お問合せ
〒550-0015 大阪市西区南堀江2丁目13−22 
公益財団法人ユニオン造形文化財団 デザイン賞係
TEL : 06-6532-8764
E-mail : kana-k@artunion.co.jp
詳細は、主催者のホームページをご確認下さい。

※応募の際は、必ず主催者が発行する応募要項をご確認下さい。